【試写を見た感想】映画『ジョン・レノン 失われた週末』

エッセイ

映画『ジョン・レノン 失われた週末』が、2024年5月10日(金)より公開される。

今回その試写を見ることができたので感想を書いてみます。

ジョン・レノンのいわゆる「失われた週末」と呼ばれる時期は、1973年くらいにオノ・ヨーコと別居していた頃のことを指す、ということはビートルズ・ファンならご存知と思う。

しかし当時の僕はそんなこととは、つゆ知らず、『マインド・ゲームズ(ヌートピア宣言)』とか『心の壁、愛の橋』の発売に喜び、聴いたのだった(当時はNHK-FMからのエアチェックだったが)。

どちらもいいアルバムだと思った。『心の壁、愛の橋』からシングル「真夜中を突っ走れ」はエルトン・ジョンとの共演もあって全米1位を記録したのも嬉しかった。

詰まるところ、日本のリスナーにはジョンの私生活の情報はなく、「ジョンは(そしてポールも、ジョージ、リンゴもみんな)調子いいじゃん」と思っていたのが、1973年から74年あたりだった。

ジョンの「失われた週末」のことを知ったのは、そうとう後になってからだ。そしてメイ・パンという女性の存在を知ったのもその時である。

イラスト

イラスト:牧野良幸

ジョンとメイ・パンの愛の物語でもあるドキュメンタリー

『ジョン・レノン 失われた週末』はメイ・パンが出演し、彼女の視線、立場、記憶により進む。

メイ・パン自身の生い立ちか始まり、ジョンとヨーコの秘書になるまでの過程が描かれ、ジョンの愛人になる過程も包み隠さず語っている。

「失われた週末」で、いったいジョンがどんな生活をしていたのか?

この映画はそんな思いに応えてくれる。映画のエピソードは当時そんなことがあったのか、と思うところがたくさん。また思った以上に当時の写真や映像もたくさん出てくる。

あとジョンの元を訪れたジュリアン・レノンや前妻シンシアと、メイ・パンの心温まる関係も印象深かった。『心の壁、愛の橋』の最後の曲で、幼いジュリアン・レノンのドラムと共演しているのもこれで強く納得、現在のジュリアン・レノンも映画に出演している。

この映画を見る限り、ジョンは楽しそうにやっている。

映画を見終わって、これまでジョン・レノンの伝記のなかだけの存在だったメイ・パンが、あの時代を生きたひとりの女性として浮き上がってきた。これはメイ・パンの失われた愛の物語でもある。最後はしんみりしてしまった。

『心の壁、愛の橋』の中の名曲「#9ドリーム」の“ジョ〜ン”という女性の声はメイ・パン。

知識としては前から知っていたけれど、この映画を見た後ではまた違って聞こえる。アルバムクレジットにある「May Pang」の名前もあらためて確かめた。

色々な事実がわかって楽しめた映画である。よかったらご覧ください。

『ジョン・レノン 失われた週末』公式サイト
https://mimosafilms.com/lostweekend/#

予告編動画

映画『ジョン・レノン 失われた週末

2022年製作/94分/アメリカ
原題:The Lost Weekend: A Love Story
配給:ミモザフィルムズ
劇場公開日:2024年5月10日

監督
イブ・ブランドスタイン リチャード・カウフマン スチュアート・サミュエルズ
製作
イブ・ブランドスタイン リチャード・カウフマン スチュアート・サミュエルズ クリスタル・カリー
製作総指揮
ミッキー・パーセル ペギー・テイラー エリック・デウィット ランディ・フィックス シェリー・フィックス ケイト・モリス ハンス・モリス フレッド・フリーマン ハリ・マーク ボブ・フランシス ジョナサン・グールド

音楽監修
ハワード・パー